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横領が疑われたら何をすべき?証拠の集め方について弁護士が解説

業務上横領とは?弁護士がわかりやすく解説!という記事で,業務上横領の解説をしました。

今回は,これって業務上横領?と疑われたときに、どうすればよいのかをお話します。

わかりやすい例として,集金横領をイメージしてみましょう。


お客様からお金をお預かりしたが,会社には報告せずに,未収金としていた。しかし,このような場合,お客様に聴けば,「支払ってますよ」となるわけで,いずれは発覚してしまいます。


このような場合,まず押さえるべきは,客観的なお金の流れです。お金は手渡し?領収書は?振り込みはなかった?振込記録は?会社の経理はどういう仕組み?経理上は同記録されている?説明がつかないところは?…といった形で,お金の動きと疑問点を洗い出していきます。私の場合,自分の頭の整理のためにも,お金の動きを一覧表にまとめて検討することが多いです。その裏付け資料として,領収書,通帳の写し,経理のデータ等の記録も整理していきます。領収書等の書証を確認するうえでは,この書類は誰が作ったのか,誰の筆跡か,誰の押印かといった細かいことも確認をしていきます。

その上で,お客様に対するヒアリングを実施することになると思います。調査段階で,社内事情をどこまでお話しするかは悩みますが,少なくとも支払いの有無についての認識,これに関する証拠の有無(通帳から出金していれば出金記録はないか,スケジュール帳などに記録が残っていないかなど)などを確認します。横領を疑われている方との間でどんなやりとりをしていたのかなどもお話しいただければ記録をしていきます。私の場合,逐一,ヒアリング記録,報告書,陳述書又は陳述録取報告書などを作成していくことが多いです。

その他,チームを組んで集金などをしていた場合は,そのチームのメンバーなどからもヒアリングをするでしょう。そういった,横領を疑われている方以外の方から証拠収集がある程度できた段階で,当該本人からヒアリングをするということが多いです。本人以外のまわり,特に客観的な証拠,動かしがたい事実を押さえた上で,本人の言い分を聞いていくのがよいのではないかと思います。

本人が認めた場合はどうすればよいでしょうか。認めたことがわかる書面を作成して証拠化しておくべきです。「支払誓約書」などといったタイトルで,書面を作成することが多いです。いつ,いくら,どうやって,何を横領したのかという点を,本人が認めている限りで細かく記載して書面化するのが望ましく,本人の確認をとったうえ,署名押印をしていただくことが必要でしょう。

横領は,企業秩序を乱す重大な行為です。懲戒処分を検討することが多いと思います。殊更,「弁明の機会の付与」には気を付けてください。横領に関する事件の場合,事前にしっかりヒアリングをするなど,事前準備を十分にした上で,懲戒処分の検討をすることが多いため,重ねて「弁明の機会の付与」はしないでいいだろうと判断する方も結構おられます。しかし,調査のためのヒアリングと懲戒処分前の弁明の機会付与は趣旨目的も内容も時点も異なるものですので,二度手間と思われてもきちんとステップを踏んで対処していくべきです。

弊所では,業務上横領罪も含めた財産犯の弁護の数は相当多数にのぼっており,財産犯で捜査機関がどのような点に注意して捜査をするかなどといった点についても,ある程度の見識が得られております。刑事告訴を検討するなり,損害賠償請求を検討するなりするとしても,まずは「論より証拠」,証拠をいかに収集できるかが,その後の展開を決定的に左右することになります。ぜひ,本記事も参考にして,対応をご検討ください。

弊社において,横領をめぐる一連の経過につき検討・対応することもできますので,サポートをご用命の方は,ぜひ1度ご相談に来られてください。

事務所紹介

豊前総合法律事務所 

代表弁護士 西村幸太郎

当事務所では、使用者側(経営者側)の企業法務に注力して業務を行っております。労務トラブル、契約書作成・リーガルチェック、債権回収、クレーム対応、不動産に関するトラブル等でお悩みの方は、当事務所までご相談ください。

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